バスケットボールクリニックコーチ陣による、スキルアップのためのクリニックです。
すぐに練習に取り込めるテクニックや、選手に必要な「エネルギー・水分」の補給ポイントなどを紹介します。
テクニックのこと、身体のこと、バスケットボールを行う上で基本的なことをもう一度見返して、基礎力アップを目指しましょう!
前回は、貧血対策には「●●」を多く摂取しましょう。とお話ししましたね。覚えていますか?分からない人は、前回の「ジュニア期の貧血」に戻ってみてくださいね。
今回は、成長期である皆さんの年代で、特に気にして摂取してほしい栄養素を、もう一つ紹介しましょう。
今回は、人間で最も不足する栄養素ともいわれている「カルシウム」のお話をしていきます。
「カルシウム」って、皆さんよく聞きますよね?
では、人間の体の中のどこにカルシウムが存在しているのでしょうか?
ヒトの体内には体重比にして約1〜2%のカルシウムが存在します。そして体内に含まれるカルシウムのうちの99%が骨・歯に存在し、その他の1%はそれ以外で使われます。
「骨を強くするために牛乳を飲みなさい!」と、おかぁさんや先生に言われたことありませんか?まさにそのとおり!!飲めば、身体の中で、強い骨が作られるのですから!!強い骨ほど骨は硬く密度が高いのです。
成長段階では、骨量が増加しますが、ヒトの一生の中で、この密度が10代後半にピークを迎え、その後は少しずつ減少します。ですから、ジュニア期(小学生から中学生の成長期)にカルシウムの摂取量が少ないと密度が低くもろい骨になってしまいます。そして、年齢とともに徐々に密度は低下していってしまいますから、選手生命をのばすためにも、ジュニア期にしっかりカルシウムを摂取して、密度を高めておくことが大切です。
骨作り以外のカルシウムの働きもあります。
まず一つ目ですが、骨以外ではカルシウムが筋肉の収縮時にかかわっています。カルシウムが不足すると、筋肉のけいれん(脹(ふくら)脛(はぎ)がつるような状態)が起こりやすくなります。
次に二つ目ですが、カルシウムは、神経の反応を穏やかにする働きも持ち合わせています。したがってイライラ防止にも役立ちます。不足すると、集中力が乱れたり、判断力が鈍くなったりと、ゲーム中に一番大切な場面でのミスにつながるのです。
このほかに、スポーツ選手の場合激しい運動に伴っておこる発汗により、一緒に失われてしまいますので、体内でのカルシウム不足は起こりやすくなります。
不足しやすい栄養素「カルシウム」は、体内での吸収率が低いという特徴をもっています。一番吸収のよい食品「牛乳などの乳製品」でも50%しか吸収されませんので、意識して毎日の食事にとりいれましょう!
1日あたりの目標量
成人 600mg / これは牛乳だと約3本です。
8〜9歳 | |
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男 | 700mg |
女 | 700mg |
10〜11歳では | |
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男 | 800mg |
女 | 800mg |
12〜14歳では | |
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男 | 900mg |
女 | 750mg |
15〜17歳では | |
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男 | 850mg |
女 | 750mg |
(資料 厚生労働省 日本人の食事摂取基準)
※通常の生活で、この摂取目標量です。スポーツ選手は、更に多く摂取する必要があります。
カルシウムの吸収を助けるのはビタミンDです。ビタミンDの多い食品はサンマやカツオなどです。
◇乳製品 牛乳 ヨーグルト プロセスチーズ スキムミルク |
◇小魚 ワカサギ いわし丸干し 田作り 干しアミ ちりめんじゃこ ハゼ佃煮 干しえび 煮干し アニの佃煮 シシャモなど |
◇青菜 小松菜 大根の葉 葉の花 チンゲン菜 つるむらさき |
◇大豆製品 豆腐 納豆 高野豆腐 厚揚げ がんもどき |
◇海藻 ひじき 乾燥ワカメ おぼろ昆布など |
◇ナッツ類 ピスタチオ アーモンド ゴマ |
リン・塩分・アルコールなどです。リンは適度であれば、骨を作る栄養素ですが、多すぎるとカルシウムの吸収を妨げることもあります。さらに、骨のカルシウム量に影響を与えるので、気をつけなければなりません。
リンって??リンは多くのインスタント食品に防腐剤として使用されています。一般に血液中のカルシウムとリンの割合は2:1または1:1が理想です。皆さんの大好きな、スナック菓子・カップラーメンを食べた時その割合は、1:5になります。そうすると体内では、カルシウムが不足するため、骨を溶かして、骨からカルシウムを得ようとするのです。その結果、骨折しやすい、ケガの治りが遅い、判断力が悪くなる等の問題を引き起こすことになるのです。リンは普通の食事で必要な量を充分確保できます。従って、インスタント食品などのリンを多く含む食品を多く摂り過ぎると、骨が弱くなってしまう、といっても過言ではありません。