ENEOSバスケットボールクリニック

スペシャルアドバイザー高木彰氏のコーチングクリニック

日本大学バスケットボール部、日本鉱業(現:ENEOS)バスケットボール部のヘッドコーチ時代を経て、1994年からジャパンエナジー(現:ENEOS)男女バスケットボール部の総監督に就任した高木彰氏。その高木氏が、「チームを強くするには?」ということを今一度考え、「チームを率いる指導者がはっきりとした理念を持てば、チーム力が底上げされるし、選手たちも上達する」という結論に達しました。高木氏が指導者の皆さんの悩みや疑問に答え、チームの発展に協力するクリニックです。

第15回:「やり遂げる・信頼される」

やり遂げる勇気を!このWEBクリニックが始まった第一回目で、「目先の勝利よりもっと大切なこと」ということを書きました。
その後、Q&Aコーナーには、選手や指導者、親御さん等からいろいろな質問を頂きました。我々スタッフは手分けして、できるだけ多くのご質問にお答えしてきた訳ですが、今少し心配なことがあるので、もう一度指導者の皆さんに考えて頂きたい問題を提起してみたと考えました。

【勇気】

バスケットボールからかなり話がずれますが、今はITの普及で、一般家庭もIT化が進み、子供たちも手軽に様々な情報を、簡単に入手できるようになりました。そのこと自体はとても良いことだと私は考えています。
しかし、一方では、必要のない情報も入手できてしまうという、危険な一面も含まれています。
又、簡単に見ず知らずの人と、文字の上でコミュニケーションもできてしまうと言う側面も持っています。

冒頭のQ&Aコーナーの質問も、子供たち自身が不安になったことや、疑問に思うことを書き込んできていると思いますが、一つの心配は、指導者の先生、チームメート、親御さん、等々に相談をしたのだろうか?という疑問が湧き上がる時があります。
そうであれば良いと思う反面、壁にぶつかって一人で悩んでいるのではないだろうか、と言うような心配な面もあることも事実です。

新聞の社会面等で、「最近の子供たちは外部とのコミュニケーションが苦手」、と言うような話を聞くに付け、今の自分、これから進むべき方向、チームメートとの強調、等々。一人で抱え込んでいるのでないだろうかと、ふと不安になることがあります。

バスケットボールの良さは、「協調性」と言われています。私はこれほど役割分担がはっきりしているスポーツは他に余りないと思っています。
チームメートや先生、先輩や後輩。身近にいるいろいろな人に相談をする勇気を持ってもらいたいと思います。

「やり遂げることで信頼感を得る」

子供たちは、成長過程の何処かの時点でバスケットボールを志し、大きな夢を持って始めたのだろうと思います。そして、「上手になりたい!」という上昇志向が出始め、夢中になって取り組んで行くのだろうと思います。しかし、上達の道程は簡単ではないはず。幾つもの壁にぶつかり、自信を無くし、挫折を味わい、そしてその壁をぶち破る努力をすることで、又自信を取り戻して挑戦して行く。そんな時、先生やチームメートのちょっとしたアドバイスや、親御さんの支え等で、何かヒントを得ることもあるのかもしれません。
そんな経験を積むことで、精神的にも成長を遂げていくのだろうと思います。

「困難に立ち向かう勇気」。その時、「今自分が何をすべきかの判断力」。一度始めた事をやり遂げることの大切さを判って欲しいと思っています。
そして、困難を乗り越えてやり遂げた時、又チームメートや仲間から信頼されるようになり、「プライド」(自尊心や誇り)を持てるようになるのです。

私は、必ずしも今は良い子である必要はないと思っています。将来、立派な大人になるために、子供ながらに壁にぶつかった時、それを乗り越えようとする「勇気」と、どうすれば良いか、という「判断力」を磨けるよう、日頃の子供たちのちょっとした表情を良く観察し、アドバイスをして頂きたいと思います。

では又次回、お会いしましょう。

高木 彰氏プロフィール

高木 彰氏

1949年
1月22日生まれ 東京都出身
1971年
日本鉱業株式会社(現:ENEOS) 入社
1978年
現役引退後 同社バスケットボール部アシスタントコーチ 就任
1979年
日本大学バスケットボール部ヘッドコーチ就任
(全日本学生バスケットボール選手権大会  3回優勝
関東男子学生バスケットボールリーグ戦  3回優勝
関東男子学生バスケットボール選手権大会 2回優勝)
1986年
日本鉱業(現:ENEOS)バスケットボール部
ヘッドコーチ 就任
(全日本総合バスケットボール選手権  2回優勝)
1994〜1998年
ジャパンエナジー(現:ENEOS)男女バスケットボール部 総監督
1998〜2003年
バスケットボール女子日本リーグ機構 理事・広報部長
2004年〜
バスケットボール女子日本リーグ機構 理事
2003〜2014年
日本文化出版(株)月刊バスケットボール技術顧問
2004〜2008年
実業団男子バスケットボールチーム ヘッドコーチ
2009〜2010年
JBAエンデバーWG委員
2010年〜
東京国体成年男子アドバイザー・技術顧問

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