日本大学バスケットボール部、日本鉱業(現:ENEOS)バスケットボール部のヘッドコーチ時代を経て、1994年からジャパンエナジー(現:ENEOS)男女バスケットボール部の総監督に就任した高木彰氏。その高木氏が、「チームを強くするには?」ということを今一度考え、「チームを率いる指導者がはっきりとした理念を持てば、チーム力が底上げされるし、選手たちも上達する」という結論に達しました。高木氏が指導者の皆さんの悩みや疑問に答え、チームの発展に協力するクリニックです。
バスケットボールWebクリニックが始まって、早くも4年が過ぎようとしています。
前回、コーチ・指導者向けWebクリニックで、“指導者がはっきりとした理念を持てばチームが強くなり、選手も上達する”というテーマで「指導者が考えなければならないこと」「オフェンスやディフェンスの考え方」等々について述べてきました。
今回は「チーム内における選手個々の役割」ということをテーマに、色々と考えてみたいと思います。
最近「公共マナー」という言葉が盛んに言われています。例えば、電車やバスに乗っていると、車内放送等で車掌さんや運転手さんが「車内マナーを守りましょう。ご理解とご協力をお願いします」という感じです。
車内というのは一つの小さな社会。我々個人は、その社会の中で日々通勤や通学をしているわけです。
そこは多くの見ず知らずの人がほとんどの社会です。人が集まると何かとトラブルが起こりやすくなります。「足を踏んだ、踏まない」「肩がぶつかった、ぶつからない」等々。そんなトラブルもなく、多くの人が平穏な気持ちで毎日を暮らすことができたら、多くの人たちがもっともっとハッピーになれるのではないでしょうか。
そんな社会での個々の役割を、「チーム内における選手個々の役割」に置きかえスポットを当てて考えてみたいと思っています。
バスケットボールは、特に個人の役割が明確になっている競技だと思います。チームというのは一つの社会。その中で選手、子供たちが自分の役割に徹して何かをやり遂げること。それが強いチーム作りに繋がり、優秀な選手が育つのだと考えます。そして、そういった基盤を踏まえて、将来子供たちが立派な大人に成長して欲しい。
そんな切り口で日常に起こっているちょっとしたことを問題提起して、指導者の方や親御さんが選手たちや子供たちとどう向き合うか、皆さんと一緒に考えていきたい。
ちょっと辛口になるかもしれませんが、そんな思いでパートIIをスタートしたいと思います。