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新シーズンに向けて、それぞれの思い山下笑伶奈・藤本愛瑚・オコエ桃仁花・星杏璃・田中こころ

Wリーグ、皇后杯ともに3大会ぶりの優勝に向けて活動中のENEOSサンフラワーズ。オフシーズンは、選手それぞれが日本代表活動やチーム内での遠征や練習を通してレベルアップを図ってきた。

日本代表では7月に行われた『FIBA女子アジアカップ』にオコエ桃仁花、星杏璃、田中こころの3名が参戦。準優勝という結果とともに田中は大会のオールスター5にも選出された。

その代表組3人に加え、新人の山下笑伶奈、そして日本代表入りは惜しくも逃したものの、日本代表候補選手として代表活動を行った藤本愛瑚と、新シーズンに向けて気持ちを新たにしている5人が意気込みを語った。

#25 山下笑伶奈選手

ENEOSへの入団を決めた理由を教えてください。
千葉県の八街市出身で、小さい時からENEOSはあこがれでした。一番あこがれていたチームだし、お手本になるような選手がたくさんいるので、そういった選手たちを見て自分も成長したいと思ってENEOSに入団しました。
お手本の選手は?
藤本愛瑚さんや三田七南さん、花島百香さんと、3番ポジションもできてインサイドでもできる、器用な選手を目標としています。
高校を卒業してENEOSに入団。実際にトップチームで数カ月を過ごしての感想を教えてください。
スピードや体の当たりの強さが高校とは違うなと感じます。その中で特に違いを感じるのは、より頭を使ってプレーしなくてはいけないということ。私はそこがまだ付いていけていないので、練習試合やユナイテッドカップ(9月)などを通じてもっとできるようになれたらと思っています。正直なところ、聞いたことない用語もあるし、セットプレーも高校以上に数が多いので、それらを覚えることにまだ慣れてないところがありますね。
逆にここは通用しているなと思うことはありますか?
相手ディフェンスが私より小さい選手のときのポストアップや相手が大きかったときの3ポイントシュートやドライブなど、相手を見てプレーを変えることができてはいると思っています。
それは高校時代からのプレースタイルですよね。さて、ENEOS1年目。どういったところでチームに貢献したいですか?
得点にからむのはまだ難しいことかもしれませんが、泥臭いディフェンスやリバウンドやルーズボールといったところは貢献できたらと思っています。

#5 藤本愛瑚選手

昨シーズンの振り返りとともに今シーズンのチームの印象を教えてください。
昨シーズンの前半は調子が良く、勝ち星を重ねることができましたが、後半戦に失速してしまいました。
>昨シーズンをもって退団した選手もいますが、今シーズンは(馬瓜)エブリンさんも加入しましたし、メンバー個々の力は大きいと思っています。それをいかにチームとして力を付けることができるか。(ヘッドコーチの)ティム(ルイス)さんが求めているバスケットを遂行できるかがカギになってくると思います。ファイナルに行ける、優勝も狙えるチームだと思うので、みんなで勝ちにこだわって戦いたいです。
年齢的にもチーム内での立場が変わってきたのではないですか。
今シーズンで8年目になるのですが、今までは引っ張ってくれる先輩が多く、どちらかというと付いていく立場でした。でも、今は年齢も上の方になりましたし、今のチームは昔と比べると全員が試合に出ているので、後輩もたくさん試合に出ます。そこで私も今までの経験を生かし、後輩たちとしっかりコミュニケーションを取っていけたらと思いますし、先輩と後輩との中継役のようなことも上手くできたらと感じています。
日本代表活動もプラスになったのではないですか?
日本代表はどのポジションも得点能力の高い選手がそろっていて全体的にバランスよく攻めることができます。その中で私が中心になって点を取りに行くという状況ではないのですが、シューターはいかにガードとセンターだけに頼らずどんどんと積極的にシュートを打っていくかが仕事になるなとは感じました。
>ディフェンスに関してはもう少し今までより力を入れてやっていくことが必要で、より強度を高めていきたいと思っています。そうなると、自然とオフェンスもやり易くなると思うので、まずはディフェンスですね。
女子日本代表ではあと一歩のところで「FIBA女子アジアカップ」のメンバー入りはなりませんでした。
アジアカップは、ロサンゼルス・オリンピック(2028年)に向けてヘッドコーチもコーリー(ゲインズ)さんに変わって初めの大会。ここでメンバーに入ることは大事なことだと思っていたし、チャンスはあると思っていました。
>でも、今回で終わりというわけではないし、選考で残れなかった原因も自分でいろいろ振り返って見付けたので、落ちてしまったことはしょうがない。これからはいかにWリーグなどでアピールできるかが大事だと思っています。シュート力は、ほかの選手と比べてそこまで劣ってはいないと思うので、自信を持って。そして、やっぱりディフェンスがカギになると思います。
体の強さなどアピールポイントはいっぱいありますよね。
海外の選手との対戦になるとポジションも(ENEOSから)1つ上がることもあるし、自分より大きい選手に付くことも多いです。そうした中でも体の強さに関しては外国の選手と比べて大幅に劣ることはないと感じています。この身長(179センチ)でドライブやシュートもあるというのは武器だと思うので、ENEOSでもそれを生かしていきたいです。

#99 オコエ桃仁花選手

「FIBA女子アジアカップ」には前回大会に続いての出場。アジアを戦って感じたことはありますか?
個人的にはオーストラリアのレベルが上がっていると感じました。私もオーストラリアのリーグでプレーしていたので(2023-24)、たとえば大会MVPを受賞したアレクサンドラ・ファウラー(Alexandra Fowler)はキャンベラのチームだったときのチームメイト。彼女はアジアカップはデビュー戦だったと思うのですが、それでMVPを取ったのでとても刺激になりました。
個人的にはどのような大会でしたか?
なかなか出場のチャンスがなく、こんなに試合に出ないことあまりないかなと、少し考えさせられた大会ではありました。もちろん、女子日本代表はヘッドコーチがコーリー(ゲインズ)さんになって始めての国際大会。チームとしても新体制なので手探りの状態ではあったと思います。今回一緒に参加した髙田真希さん(デンソーアイリス)、渡嘉敷来夢さん(アイシンウィングス)、宮沢夕貴さん(富士通レッドウェーブ)は、結果を残してきたベテランの方たち。そうした選手たちに食い込むためにも、ENEOSでまた頑張っていきたいです。
ENEOSでの頑張りやアピールが日本代表にもつながると。
今回、初めて大会を通して5番ポジションををやらなかったんですね。これまでは髙田さんの交代などで5番での出ることも多かったのですが、コーリーさんは私を3番ポジションにしたいのだと思います。そうなると、私自身も今のレベルだと国際大会では通用しない。ENEOSでは今シーズン、3番をやることもあると思うので、そこで3番としてのレベルを挙げていくことが次のステップなのかなと思います。
昨シーズンからパワーアップしたことはありますか?
体重がかなり落ち、体が絞れてきたので、そこは自信につながっています。プレーにもキレが生まれてきたので、それこそ3番でプレーするための準備は常にできる状態にしたいですね。
ENEOSでは2シーズン目です。
昨シーズンは、自分に自信がないからか、どう使われるかなど自分の評価を気にしてしまっていたところがありました。でも、今シーズンは立場も変わったし、どんな使われ方をしても、自分のベストを尽くしてチームに貢献したいというマインドになっているので、どういう状態で試合に出てもチームのために体を張っていきたいと思っています。
そういう気持ちの変化には何かキッカケはあったのですか?
アジアカップでは中国戦(準決勝)で出場が24秒と悔しい思いをしました。でも、そこで高田さんたちに、「必要なピースだからここにいるんだよ」ということを言ってもらって。その言葉が大きくて、ENEOSに戻ってからもそれを強く感じて頑張ることができています。
昨シーズンは海外リーグから帰ってきて久々に日本でバスケットをしたので、体力的にきつくてきつくて(笑)だけど、感覚や要領も戻ってきたので、昨シーズンよりいい意味で余裕を持ってできると感じています。
最後にファンの方たちへのメッセージをお願いします。
今シーズンこそ優勝してファンのみなさんと一緒に喜びを分かち合いたいと思いますので、遠い場所での試合もあると思いますが、是非会場に足を運んで応援してくれたらうれしいです。

#59 星杏璃選手

膝の大ケガから復帰後初となるFIBAの公式戦出場でした。
(日本代表の)メンバー入り(12名)を目指すことは自分との戦いでもあったし、周りの同じポジションの人との激しい争いでもありました。そこに負けず、メンバー入りしてアジアカップに出場できたことは、そうした戦いを乗り越えられたのかなと思います。
アジアカップを振り返ってプレーで感じたことはありますか?
試合をするにつれ相手がどんどん強くなっていくと、自分の仕事もなかなか簡単にはさせてもらえない時間が多くなっていきました。私はずっと試合に出ているわけではなかったのですが、強いチームを相手にして与えられた時間で自分のプレーを発揮するというのは、前から簡単なことではないことは分かってはいましたが、改めてその難しさを体感しました。
今後の日本代表活動ではどのようなところを意識していきたいですか?
コーリー(ゲインズ)さんからは3ポイントシュートをすごく評価されていましたが、3ポイントシュートが打てないときもあるし、入らないときもあるので、そういうときに3ポイントシュートだけではないのが自分の良さ。3ポイントシュートが打てなくなったときに、ドライブなどハンドラーとしてしっかりと切っていき、味方の3ポイントシュートのチャンスを逆に作るなど臨機応変にできるようにしたいです。「今、こういうポイントがほしい」ということに対応できるプレーができたらいいなと思いますし、それが自分の持ち味だとも感じています。
そのプレーはENEOSでも求められることですよね。
ENEOSでもシューターとして3ポイントシュートは打たなくてはいけないけれど、打っているだけでは相手も守りやすいし、こっちも(ディフェンスを)崩していけない。自分が点も取るし、アシストもするということはやっていきたいですね。
代表活動の経験を経て、よりENEOSを引っ張るという思いは増しているのでは?
一応、今シーズンはキャプテンで(照れ笑)。ユラさん(宮崎早織)とダブルキャプテンなのですが、ユラさんは今シーズンをもって引退と言っているので、ENEOSを引っ張っていかなくてはいけないのは自分だという自覚は、より強くなりました。声を出して引っ張ることもそうですが、一番は頑張る姿勢。試合の中での姿をチームメートは見ていると思うので、言葉だけではなくてプレーでも引っ張っていけるキャプテンにならないといけないと考えています。
いろいろと挑戦の年になりますね。
そうですね。7年目ですが、ENEOSは負けてはいけないチームだということは経験してきたので、そこはENEOSとしてユニフォームを着るからにはちゃんとつないでいきたいですし、途切れさせてしまうのは嫌。応援してくださってるファンのみなさまにENEOS変わってしまったと思われるのが一番嫌で、ENEOSとしてのフライド、そういったことを伝えないといけないと思っています。
日本代表の話に戻りますが、復活を喜んだ人たちは多かったです。
私自身は戻ってきたという感覚はあまりなかったんです。だけど、メディアの方もファンの方も、もう一度赤いユニフォーム着ている姿見られて良かったと声をかけてくださることが多くて。そこで、周りの方は代表復帰をそういった感覚で喜んでくれていたのかと知り、ってもうれしかったです。それに、日本代表のユニフォームを着て試合に出ることに意味があるんだと気づかせてもらいました。
次はENEOSの59番での活躍を期待しています。
ユラさんと(馬瓜)エブリンさんに乗って、いい方に進んでいければ。私も年下の選手たちが活躍できるように引っ張っていきたいですし、それがチームにとっていいことだと思うので、全員で長いシーズンを頑張ります!

#26 田中こころ選手

準決勝の中国戦で27得点など、「FIBA女子アジアカップ」では大活躍でした。
個人的な感想としては予選ラウンドであれだけ調子が良くなかった私に、決勝トーナメントで先輩たちがボールを回してくれた。それで自分のシュートチャンスが増えて、ああいう結果が出せたので本当に周りの方には感謝しています。
予選ではどういった理由で本来の動きではなかったのだと思いますか?
根本的にシュートを狙っていなかったですね。もうリングすら見ていなかったし。消極的になってパスばかり狙っていたので、自分のシュートミスというよりはパスミスが多かったし、自分のシュートを考えていなかったことが一番の原因だと思います。
それでも決勝トーナメントに向けて切り替えることができました。
コーチたちにすごく声をかけてもらって。予選のオーストラリア戦前にはコーリー(ゲインズ)さんに自分のプレーをしっかり見せるようにと言われました。今までは本来のプレーではないということも言われ、そこで「そうだよな」って。分かってはいたけれど、実際に言われたことでさらに気持ちを切り替えることができました。
アジアカップ前の国内の国際強化試合でもスタートで起用されるなど指揮官の期待もあったと思います。
変にプレッシャーを感じずに、自分のプレーをするだけという気持ちではやっていました。コーリーさんから「アジア1位の選手になれる」といったようなことを言ってもらったときは期待に応えないといけないとは思いましたけど。
日本代表では「自分はポイントガードだ」と思えば思うほどプレーに迷いが生じると思ったので、自分の持ち味はシュート。ポイントガードだとしても点を取りに行くことがコーリーさんの求めるポイントガードだと考えていました。
日本代表活動がENEOSにもつながることはありましたか?
昨シーズンのENEOSでは1年目ということもあって、がむしゃらにやるという感じで自分が点を取りに行こうという気持ちもそこまでありませんでした。でも、高いレベルになってくると、それでは絶対勝てない。それは国際大会を経験して分かったことでもあるので、点は狙っていきたいです。
それと、日本代表ではセンターの先輩の方がすごくコミュニケーションを取ってくれました。ガードは特にセンターとのプレーも多く、コミュニケーションは必要になるので、ENEOSでは積極的にセンター陣とコミュニケーションを取ることができれば、それが良いプレーにつながるのではないかと思っています。
シーズンの開幕に向け個人的に取り組んでいることはありますか?
アジアカップでは試合の前半はシュートが良かったけれど、後半になると相手もアジャストしてきて簡単に打たせてもらえないことがありました。そういった体力的にもきつくなる中でいかにシュートを決めるか。ENEOSの練習の中ではランニングトレーニング直後にフリースローを打つというのがあるのですが、そういうときはみんなよりちょっと早く出てきつい状態でフリースローを打つようにしています。ほかにも走りながら、少し息上げながらシュートをすることも増やしています。
日本代表の活躍もあって今シーズンは注目されるシーズンになりそうですね。
アジアカップでは自信もつきましたし、課題もたくさん得ました。アジアカップよりもすごくなった、上手くなったなと思ってもらえるように。チームには新しい選手が入ってきましたし、宮崎さんも最後なので、優勝といういい形で終わるためにも、チームに貢献できるように頑張りたいです。

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