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渡嘉敷来夢×宮崎早織『いざ決戦の舞台、プレーオフへ』

第24回Wリーグ(2022-23シーズン)のレギュラーシーズンを4位で終えたENEOSサンフラワーズ。4月1日からはじまるプレーオフでは4月2日のクォーターファイナルからの出場となった。

プレーオフでの戦いやレギュラーシーズンを振り返ってのチーム状況など、攻守において中心となるパワーフォワードの渡嘉敷来夢とポイントガードの宮崎早織の2人に話を聞いた。

宮崎「昨シーズンより落ち着いてゲームコントロールができた」
まずは4位で終えたレギュラーシーズンを振り返ってください。

宮崎4位をマイナスに捉えてはいなくて、レギュラーシーズン終盤になるにつれて、よいチームになっていきましたし、プレーオフに向けて選手たちのパフォーマンスも上がっていると思います。

渡嘉敷SNSでデンソーアイリスが初のレギュラーシーズン1位という投稿を見るのですが、そこで改めて1位はすごいことだと実感しました。同時に、最後に勝つのは私たちだという思いも強くなりました。個人的には4位通過できてよかったとも思っていて、レギュラーシーズンでは自身のコンディション不良でチームに迷惑をかけました。一番大事なのはここからだと考えています。

徐々にチームとして仕上がっていった要因は?

宮崎タクさん(渡嘉敷)やレアさん(岡本彩也花)が、後輩たちがやりやすいように声をかけてくれたことが大きいです。
あとは、シーズン中、タクさんとモエコさん(長岡萌映子)がコンディション不良でいなかった試合で不安はありましたが、若い選手たちがコートの上で40分間頑張ることができた。シーズン前半にそういった経験ができたこと、後輩たちがひたむきに頑張ったことはプラスになっていると思います。そして2人がチームに戻ってきて、レアさんも復帰したことで、「ここからもう1回頑張るよ。」と先輩たちが組み立ててくれた結果が今だと感じています。少しのミスでは崩れなくなりましたし、我慢の時間帯をコート上の選手だけでなく、ベンチメンバーやスタッフも、みんなで乗り越えることができています。

渡嘉敷どこからでも点取れるようになっていることも強みですね。インサイドを止められてもアウトサイドがある、その逆も同じ。それにアウトサイドとインサイドのバランスも、練習でやり込んでいく中で、理解度が深まったと感じています。

宮崎モエコさんの加入も大きくて、私からタクさんに直接パスを入れなくても、モエコさんがつないでタクさんにパスをしてくれるので、助かるという気持ちです。

渡嘉敷モエコは安定していますね。もちろん、最初はかみ合わないこともありましたが、(昨年12月開催の)皇后杯以降はだいぶフィットしてきました。モエコから発信してくれることも多く、コミュニケーションも増えています。


星選手の成長は、どのように感じていますか?

宮崎飛躍していますよね。今後、相手にスカウティングされても良さを出してほしいし、何も考えずに思い切りやってもらいたいです。

渡嘉敷そうだね。まだ考えるポジションじゃないので、思い切りプレーしてくれたら。伸び伸びやってくれたら、あとはこっちがフォローするからって思っています。

昨年12月に皇后杯を連覇できたこともプラスに作用したのでは?

渡嘉敷勝てたことは良かったとは思います。でも、過去2シーズンは皇后杯で勝ってもWリーグで勝てていないので。皇后杯の優勝が最終地点ではないですね。

宮崎一昨年の皇后杯が個人的にうまくいかなかったので、昨年の優勝はすごくうれしかったのですが、それを引きずらずに次の目標であるWリーグ優勝に向かっています。

個人としてはどのようなレギュラーシーズンでしたか?

宮崎昨シーズンよりは積極的にシュートを打てたと思います。ゲームコントロールもこれまでより落ち着いてできたかなと。私がオフェンスを組み立てることでみんなが点につなげてくれるので、そこは自信になっています。

渡嘉敷ユラ(宮崎)は安定感が増しましたね。入団1年目から見てますから、ユラの成長は分かります。私自身は、(梅沢カディシャ)樹奈がいなくなったので(トヨタ自動車アンテロープスへ移籍)、インサイドをやることが多くなりました。13年間で一番インサイドにいるなというぐらい。インサイドで強みを出せるという再確認はレギュラーシーズンを通してできたので、後はディフェンスが2人寄ってきたときにどう攻めるか。それに、アウトサイドのプレーを全くしなくなったわけではないので、3ポイントシュートも少ないチャンスの中で打っていこうと思っています。

宮崎私は膝のケガをしてからのタクさんも、ケガする前のタクさんも知っているのですが、(ケガから復帰した)昨シーズンは「足が痛いのかな」と心配するときもありました。でも、昨年秋の「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」が終わってENEOSに戻ったころから吹っ切れたなと感じることがあって。皇后杯ではそれがさらに吹っ切れたと思っていて、やっと前に見ていたタクさんが帰ってきたと思い、うれしかったです。

渡嘉敷怖かったんですよ、ブロックやリバウンドに跳ぶことが。ただ、ワールドカップでたくさんブロックに跳んでいたら、『膝、大丈夫じゃん』みたいな感覚になりました。

渡嘉敷「ENEOSが一番優勝に飢えているチーム」

今シーズンで、2人のプレーで印象に残っているものがあったら教えてください。

宮崎皇后杯の決勝、デンソー戦で足元にパスしてしまったけれど、タクさんはそれを取ってシュートを決めてくれたプレーですかね…。大事な時間帯だったと思うのですが、パスするときに「あ、これはタクさんの足元にボールがいってしまうな」と思って、とりあえず床に強く叩きつけて、タクさんの顔のあたりにボールが弾むようにしました。「ゴメン」って言ったら、タクさんに文句言われたけど(笑)、そう言いながらもシュートを決めてハイタッチしてくれました。

渡嘉敷覚えてないな。でも、パスに関しては、「もう少し高めにちょうだい」など、思ったことは言います。だって走っていて振り向いたらボールがもう顔の近くにあるときがあるから。なのにパスを出したユラは笑ってるし。そういうときは、「ちゃんと見てからパス!」って、喝を入れます(笑)

宮崎私、結構怒られてる(笑)

それもまた、よいコミュニケーションかもしれないですね。今シーズンは、これまで以上に宮崎さんから渡嘉敷さんへのパスのタイミングが合っているように感じます。

宮崎それは私も感じます。きっと私に余裕ができて、インサイドに急いでパスを出さなくなったのだと思います。昨シーズンより無理矢理のパスがなくなりましたね。

渡嘉敷そうだね。あとは今まで以上にコミュニケーションを取って、細かいところまで話ができている。チームとしてもコミュニケーションは多く取っていると思うし、そういったところでも “質”にこだわることができています。

いよいよプレーオフですが、レギュラーシーズンとは戦い方が変わりますか?

渡嘉敷戦い方の変化は、自分たちではそこまで感じてはいないです。

宮崎一発勝負とか2戦先勝方式のようになると、負けず嫌いな人が多いから負けたくない気持ちがより出ているとは思います。それはENEOSに入団したときにすごく感じたことで、リュウさん(吉田亜沙美)やメイさん(大崎佑圭)もそうだし、今もタクさんとレアさんと一緒にやっていると、「負けたくない」という思いが伝わります。技術も大事ですが、最終的には気持ちなのかなと感じますね。

渡嘉敷例えば、これで負けたら勝負は振り出しに戻るみたいな状況に追い込まれると精神的にもキツイ。それなら「今やるしかない!」というスイッチは入るかもしれないです。あとは、プレーオフで負けるとオフの過ごし方が…。(セミファイナルで敗れた)昨シーズンは喪失感があったので、そんな思いはもうしたくないです。ENEOSが一番優勝に飢えているチームだと思います。

短期決戦のプレーオフで大事なことは?

宮崎当たり前のことを当たり前にできるか。ルーズボール一つにしても、どれだけ気持ちを込めて追いかけるかなど、気持ちでできるプレーが大事になると思います。それと、ミスで顔を下げている選手がいたらみんなで助けることも必要。それを先輩たちがずっとやってきてくれたので、今度は私が後輩たちやお姉さんたちと一緒にやっていきたいです。

渡嘉敷ユラが言っていたことは本当に大事なこと。あと、気持ち以外ではコンディション面。今シーズンこそ16人そろって最後にファイナルの舞台に立ちたいですね。最後、全員で笑って終われるようにしたいです。

宮崎ほんとそうだね。(優勝旅行の)ハワイに行きたいし。

渡嘉敷間違いない。

最後にプレーオフへの意気込みをお願いします。

宮崎ファンのみなさんや会社の方たちも含め、多くの方が会場に足を運んで盛り上げてくれたら、より私たちの力が出るし燃えます。優勝しか見えていないので、みなさん、応援よろしくお願いします。会場で待っています!

渡嘉敷会場をホームタウンゲームのように黄色一色にしたいですね。まずは一戦一戦しっかりと自分たちのバスケットで勝つこと。優勝は応援してくれている方たちへの恩返しだと思っています。

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