10月11日に開幕した「大樹生命Wリーグ 2024-25 シーズン」。ENEOSサンフラワーズは開幕戦で2連勝を飾ると、14試合を終えて11月24日時点で9勝5敗としている。
今シーズンより、プレミアリーグとフューチャーリーグに分かれたが、サンフラワーズの属するプレミアリーグではプレーオフ進出が8チーム中4チームのみ。すでにその出場権を懸けた激しい争いが繰り広げられている。
その中でカギを握る存在が藤本愛瑚と星杏璃だ。2人とも咋シーズンは膝のじん帯断裂という大ケガにより戦線離脱を余儀なくされたが、今シーズンは見事復帰し、元気な姿を見せている。今回は2人にケガから復帰まで、そして今後に向けての思いを聞いた。
藤本私は(9月の)ユナイテッドカップで復帰しましたが、かなり緊張して(苦笑)
星レイアップだっけ?
藤本ゴール下(のシュート)、落とした…。
星“ど”フリーを落としてました。
藤本緊張しているつもりはなかったけど、緊張していたみたいで。久しぶりの試合で気持ちの持って行き方を忘れちゃいましたね…。
星私は復帰が新潟(10月19日のシャンソン化粧品シャンソンVマジック戦)で、もっと緊張するのかなと思ったのですが、緊張もせず楽しみながら、「久しぶりだな」という感覚でプレーできました。
藤本ケガをした後は、どうせやらないといけないのなら早い方がいいと思ったので、割と早くにオペなどの日にちが決まりました。とはいえ、リハビリは嫌で…。体の使い方など学ぶことはたくさんあったのですが、見てくれている方たちの評価はプレーをしてこそ。プレーをしていないと停滞しているような気持ちになって。昨シーズンは6年目、ここからもっと頑張っていこうと考えていただけに、リハビリに対してはすぐに気持ちが上がったわけではなかったですね。
星私は正直、すごく落ち込みました。「もうどうでもいいや」みたいな感じになって。(日本代表の海外遠征に参加中だったため)日本に帰ってからは、しばらく休みをもらいました。一旦バスケットから離れて実家でゆっくりしていましたね。
でも、バスケットから離れてしばらくすると、「やらなきゃいけないな」という感情になるんです。それでオペ前にENEOSの練習に合流して。もちろん私は別メニューですが、それでもみんなと同じスケジュールで動いていると、バスケットがやりたくなるんです。膝のケガは2回目だったので手術後が大変なことも分かってはいたのですが、オペもリハビリもやるしかないと思うようになりました。
リハビリではJISS(国立スポーツ科学センター)を使わせてもらう機会が多かったので、本当に自分との戦い。「自分には負けたくない」と思いながら地味なことを一人で淡々とこなし、自分自身と向き合い、ひたすら一日が終わるのを待っていました。
星はい。ケガをしたとき、ユラさんとキキさん(林咲希/富士通レッドウェーブ)がずっと寄り添ってくれて。だから2人には試合前に連絡をしました。日本代表の仲間には頑張ってほしかったし、オリンピックに行ってほしかったですね。
藤本チームメートや家族、それにたくさんの方からメッセージや声を掛けてもらいました。そういった方たちのために頑張って、またプレーする姿を見てもらいたいという気持ちが強かったですね。周りの人の支えが大きかったです。
星私は親の存在が大きかったですね。実家でいろいろな話をしましたが、母は私より泣くんですよ。私自身、(気持ちが)落ちていたので、「もういいかな」みたいな話もしたのですが、そういうときに言葉にはしないけれど、続けてほしいという思いが伝わって。親は私がバスケットをしている姿を見るのが好きなので、親のためがすべてではないけれど、家族のためにもう一回頑張ろうと思いました。
星いろいろありますが、リーグ戦で開催地が遠いときは留守番だったので試合を見ながら話をしました。
藤本自分たちが試合に出るわけではないのに分析してたよね。
星あ、思い出しました。デンソーに(セミファイナルで)負けてシーズンが終わったとき、テンさん(藤本)が「来年は自分らが頑張ろう」って肩を叩いてきて。急にそんなことを言うタイプではないから、テンさんも思うところがあるんだなと感じました。
藤本なんか…、本当にケガしてほしくなかったんですよ。自分以外にこれ以上膝をケガする人が出てほしくないと思っていたから。そうしたら、よりによってアン(星)が。だから次のシーズンは2人とも復帰して、勝ちに貢献できる選手として頑張っていきたいなと思ったんです。
星ティム(ルイス)さんは私のことをシューターと言っていて、私はシューターになりたくないと思ってるし、ティムさんにも伝えていますが(笑)、積極的にシュート打つことは意識しています。動きとしてはまだ100パーセントではないので、一発目でドライブを狙うよりは打ったシュートは全部決めるぐらいの気持ちで3ポイントシュートを打っています。ティムさんが私を出すときはシュートを打ってほしい、流れを変えてほしいとき。思い切りよくシュートを打つことと走ってペースを上げていい流れにすることを考えています。
星3ポイントシュートだけでなくドライブなどディフェンスにとって防ぎようのない選手になりたいので、シューターでもないかなと思っています。
藤本今シーズンはタクさん(渡嘉敷来夢/アイシンウィングス)が移籍したことでサイズが小さくなった分、外のシュートは必要だし、個人的にも復帰のシーズンで感覚をつかむためにもシュートのアテンプトは増やしていきたいと考えています。ただ、今はティムさんから3ポイントシュートにフォーカスしすぎているからもっとドライブにも行ってほしいと言われているので、外のシュートもドライブもバランスよく。チームが必要としてる攻めを心掛けたいです。ディフェンスではどのポジションでも守れるようにしたいです。
藤本昨シーズンまではどうしてもタクさんに頼る攻めが多かったのですが、今シーズンはインサイドだけでなく全員が3ポイントシュートを狙うし、バランスはいいかなと感じます。
星本当にどこからでも点が取れます。逆にみんなが点を取れなかったら負けてしまうかなとも。あと、ENEOSは今も勝たないといけないチームですが、今までは勝つことが当たり前、見ている側も「ENEOSが勝つだろう」と思っている人は多かったと思うんです。その中で私自身も勝ったときの達成感をリーグ戦の最中で感じることはあまりなかった。もちろん、私たちは優勝が当たり前だと思っていないし、これまでも積み重ねてきたことを結果に出そうとやっています。だけど、今シーズンは1試合1試合が戦いで、勝ったときの達成感が個人的には大きくて。試合ごとに成長しているし、それが自信につながっていると感じますね。
星あれは気がつかなかったですね。練習終わりに私とテンさんが動画撮影をするからと体育館に残っていたら、みんながTシャツを着て体育館に入ってきて。うれしかったですね。
藤本私は前に「アンのTシャツを作るからデザインしてほしい」とユラさんに言われていました。結局、デザインは途中でユラさんに引き継ぎましたが、当日も絶対にアンを体育館の外に出さないでと言われていたので、どちらかというとサプライズをする側でした。だから、アンのTシャツ着た人たちが走ってくる様子を「いいなぁ」と思いながら見ていて。そうしたら、その後に私のTシャツを着た人たちも来て。「ああ、作ってくれたんだ」と思ったら、泣きましたね。
星私は、あのときの動画を試合前に見るようにしています。あれを見ると、より「このチームのために頑張ろう」と思えるので。
藤本3ポイントシュートの確率を上げたいと思っています。それに全員で点を取らないと勝つことが難しい中、3番ポジションの成長が必要だと感じているので、まずはしっかりとパフォーマンスを上げること。試合ではどれだけ自分の仕事をできるかにフォーカスして、チームのために頑張っていきたいです。
星得点面でチームを引っ張っていきたいです。後半戦は相手もアジャストしてくると思うので、それに対応して、3ポイントシュートだけでなく、ドライブもアシストもディフェンスも、オールマイティなプレーができるようにしていきたいです。