ENEOSバスケットボールクリニック

聞いて! 答えて みんなの声

バスケットボールに関することを様々な人にインタビューしてお伝えする企画です

シーホース三河のシニアプロデューサーの佐古賢一さんに聞きました!試合の反省の仕方や唯一無二の選手になるにはどうすればいいの?

今回は、試合後の反省の仕方や唯一無二の選手になるために意識したことを佐古さんに質問してみました!

佐古さんは、歴代の日本代表ポイントガードの中でも1.2を争う実力を誇り、
国際バスケットボール連盟(FIBA)の殿堂入りも果たしている、「ミスターバスケットボール」です。
また、引退後は、Bリーグの広島ドラゴンフライズやレバンガ北海道でヘッドコーチを務めたほか、
アンダーカテゴリーの指導も積極的に行っておられます。

選手としても指導者としても超一流の佐古さんに話を聞いていきましょう!

勝ったゲームからしか学ばない

試合が終わった後、反省はどのようにしていましたか?

勝った試合の映像を見て学んでいたね。

選手時代もコーチ時代も、勝っても負けても試合の映像って見るでしょ?
でも、実は勝った試合の中で得たもののほうが自分に活かしやすい。

負けた試合で起きたことは、後悔が先にきてしまって、意外と行動に移しにくい。

では、子どもたちに指導する場合も、勝った試合を見せてこれがよかったから続けようね、という指導の方がいいのでしょうか?

いや、それは違っていて、勝ったゲームでも、ここでミスが起きているよね、この場面で選択を間違えているよね、ここからここまでは仕事をしていないよねとか、そういう見方にはなる。
でも、それでも勝てたんだという事実が自信になるし、モチベーションが上がるよね。

負けたゲームは、「だから負けたんだ」という見方になるけど、勝ったゲームは、この展開でも勝てるんだとわかるし、ポジティブに試合を捉えられる。

若い頃からそうやって反省していたんですか?

若い頃からではないね。
若い頃は負けた試合ばかり見ていたけど、途中からチームの結果が大事になってきて、積極的に勝った試合のビデオを借りるようになった。
ここでマインドが変わったね!

勝ったゲームからしか学ばない。

結局、負けた試合も見るんだけど、改善点を学ぶとしたら、どちらの方がストレスが少ないかを考えたときに、見るなら勝った試合だよねって。

負けた試合ばかりを見て反省するのはおすすめしないかな。

それは、ヘッドコーチになってからも変わりませんでしたか?

ヘッドコーチ時代も、勝った試合から何を得たの?と必ず選手に問いかけて、勝った試合こそ見て反省しよう、と伝えていたね。

負けたゲームは個人の反省だけでいい。
他の人間の反省をする必要はなくて、これは俺が現役のときから変わらないね。

唯一無二の選手になるために必要なのは覚悟

選手時代に、唯一無二の選手になるために意識したことはありますか?

唯一無二の技術を身につけたいと思っているなら、その過程で「失敗する覚悟」が必要。
周りから評価を落とす覚悟がないとダメ。それが覚悟。
俺も、当時は、こんな考え方でバスケットをやっていたら俺の評価も下がるしチームも負けるんじゃないか、という不安感があった。
けど、成功したときに、俺はこれいいんだってわかって、唯一無二の俺の考え方になった。

なるほど、唯一無二の選手になるためには覚悟が必要なんですね。

そう。これはリスクがあるし、覚悟が必要。

たとえば、日本代表のシューターになるんだと思ったとして、その過程で、そのシューターのシュートが入らなかったせいで負けた試合がいっぱいあるはず。
だけど、その失敗や、それでも日本代表になるんだという覚悟があったから、その後に、日本代表のシューターになることができる。

佐古さんが言うと説得力がありますね。

周りが自分を見て「佐古賢一だ」って言ってくれるのは、過去の自分がしっかりと覚悟を持っていたからだと思う。

覚悟するっていうのはすごく難しいことだけど、日本で一番の人間になりたいなら覚悟は絶対必要。

そのままでは絶対なれない。

重みがある言葉ですね。
でも、覚悟を持つのは辛くなかったですか?

そういう部分では頑張ったかな、俺は。バスケットが嫌いになりそうだし、逃げたくなる場面もあった。
でも、まずは自分ができることを全力でやる、そこがスタートライン。守っているだけじゃ結果は出ない。

俺はいつでも全力全開で、評価なんて気にしていないし、評価は後からついてくるもの。
まさに自分がそうだったからね。
その時はすごく辛い。でも選手はそれに取り組まないと、向き合わないといけない。じゃないと絶対評価される人間には生まれ変われない。

それがたぶん唯一無二というか、そういうことだと思う。

まとめ:勝ったゲームから学ぼう! 唯一無二の選手になるには覚悟を持とう!

佐古さんの経験から話される言葉は、非常に説得力のあるものでした。
勝った試合から学ぶというのは、盲点だったのではないでしょうか?
ストレスなく試合の課題を見つめられるのはとてもいいですよね!

また、特別な選手になるには、失敗を受け入れること、また、周りからの評価を下げてしまう覚悟が必要とのことでした。
いきなり覚悟を持つことは難しいかもしれませんが、周囲の評価など気にせず、自分にできることを前向きに取り組んでみましょう!

余談:日本代表がパリオリンピックを決めたときは…

佐古さんが、本当にバスケットが好きで、日本バスケ界のことを想っているんだなということがわかるエピソードです!

日本男子がオリンピックを決めたときの率直な感想を教えてください。

めちゃくちゃ嬉しい!
この瞬間を見れたことが嬉しかったし、バスケに携わっている間に見れてホッとしたのもあるね。

悔しさはなかったですか?

悔しさはないかな。
俺たちは全力でやりきったからね。

素直に俺たちが成し遂げたかったなとは思うけど。
でもあいつらの涙を見たら俺もめちゃくちゃ泣いたよね。
でかした! よくやった! って。

(取材・構成:渡邉祐人)

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