ENEOSバスケットボールクリニック

クリニックQ&A寄せられた質問にクリニックのコーチ陣が回答します。

よく、ノーミドルと言いミドルラインへのドライブはさせないようにと言いますが、インラインに入ればデフェンス側からすればミドルがウィークサイド(前足)(ヘルプサイド)になります。しかし、ベースラインを抜かれればヘルプも遅れがちになりますのでこちらが危険だと思うのですが、この辺を整理して教えてほしいのですが。

バスケマンさん(指導者/中学生/男性)

まず、バスケットボール用語で「ウィークサイド」の意味です。両方のゴールを結ぶ線をミドルラインを言いますが、オフェンスする時そのミドルラインを中心にしてボールのない方のサイド、つまり直接攻撃をしないサイドの事をウィークサイドを言います。ボールのある直接攻撃に繋がるサイドはストロングサイドと表現します。したがって、ディフェンスの出ている方の足側をウィークサイドと表現するのは適切ではないでしょう。

では、なぜノーミドルという言い方をするか説明します。

この考え方はアメリカの大学バスケットボールから始まった考え方です。

アメリカでは、「オフェンスはショウ、ディフェンスは勝利」という言い方をします。つまりオフェンスは見せるもの、ディフェンスで勝利を掴む、と言う考え方が主流を占めています。したがって、多くのコーチたちはいかに相手のシュート確率を落とすかという事を考えたのです。そこで考え出された一つの考え方が「プレッシャーマンツーマンディフェンス」と言って、コートの1/4を5人で守ろうとする考え方です。つまり、コートの半分(ハーフコート)のさらに半分を5人で守ろうとするものです(オフェンスのスペーシングは基本的に片方が2人又は3人ですから、常に2:5あるいは3:5でディフェンスすることになります)。

例えば、オフェンスがフロントコートにボールを運んで来たとします。ゴールに向かって右サイドからオフェンスにエントリーしようとし場合、当然ボールをダウンしてきたガードに対しては左方向へ行かさないように右側へ行かせるようにオーバーディフェンスします。それに対してオフェンスは右ウィングへエントリーパスをしようとしますからここでウィングのディフェンスは「ディナイ」(持つべきものを持たせないという意味)します。そうするとウィングのオフェンスはシュートエリアの外でボールを持つことになるので、いきなりシュートはできません。そしてボールを持たせたウィングマンのディフェンスがそのボールをミドルライン方向へ移動させられると、左右何れにでもボールを展開されてしまいますので、プレッシャーを掛けていたディフェンスは素早く、大きく移動しなければならなくなります。ディフェンスの動きが大きくなればなるほどオフェンスとのズレが生じて来ますから、基本的にプレッシャーディフェンスにならなくなってしまいます。

したがって、ウィングマンがボールを持っているとき、ベースライン方向へ行かせるように方向付けをするのです。但し、質問のあるように抜かれてしまってはこのプレッシャーディフェンスは成立しませんから、ボールマンのディフェンスはベースラインとレーンエリアを閉めなければなりません(抜かせない)。

ただし、この場合ベースライン側を抜かれる可能性も高くなってしまいますから、ウィークサイドのヘルプポジションが大切になるのです。

ストロングサイドで以上のディフェンスをした場合、ヘルプを準備するためにウィークサイドのディフェンスのポジションが大切になるのですが、その位置は、2人目はディナイ(簡単にボールを展開させないため)、3人目はミドルラインを跨ぐポジションで、自分のマークマンとボールを指さし両方を視野に入れておきます(ピストルポジションとも言う)。

これを一度図に書いてみるとお解り頂けると思いますが、コートの1/4に5人のディフェンスがいることになります。そして、理屈上右サイドにあるボールを逆サイドへ展開させないとした場合、片サイドだけを5人で守れることになります。これがプレッシャーマンツーマンディフェンスの基本的な考え方です。

したがって、このディフェンスをしようとした場合、ボールマンに対してインラインを守っていると簡単にミドルラインがへボールが行ってしまいますから、プレッシャーマンツーマンディフェンスが成立しなくなってしまいます。

そしてボールを持ったウィングマンの付き方は、例えば、ウィングマンが右サイドでボールを持ったとすれば、左足がハーフライン側、右足がベースライン側に位置しています。その時、ディフェンスはオフェンスの左足と自分の右足、右足を自分の左足がサイドラインに対して平行になっていることが理想です。そうすることでオフェンスはミドルラインへ行き難くなります。もし強引に突破しようとすればチャージングを貰えることになるのです。

もしベースライン側へドリブルを始めた時は、オフェンスにアドバンテージがありますから、スライドステップで付いて行こうとせず、ボールをドリブルし始める時、そのボールを頭の正面で捉えるように頭を下げ、そして低い姿勢でボールをトレースします。そうすることで自然と後ろの足が動いて来ます。そして、レーンエリアの直前でドリブルを止めることができるのです。ヘルプサイドは抜かれてしまったことを確認するまで、ドリブルに対して出て行かないようにします(簡単にパスをされてしまう)。

以上が説明ですが、もし自分のチームでこのディフェンスを取り入れようとしても難しいと思える場合は別の考え方、例えば、インラインを守る考え方で5人のポジションを決めるようにすれば良いと思います。

ディフェンスの考え方にはミドルライン側へ方向付けする考え方もあります。

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