ミニバスで女子の指導をしています。
ミニバスは競技スポーツではなく教育スポーツといわれています。
先日の大会で、試合終了2分前に9点差で負けていました。
勝つことがすべてではないと思いますが、勝ちを目指し、精一杯にできるすべてを出し尽くそうという方針で試合に臨みました。
私は最後まで諦めたくなく、また、子どもたちにも諦めてほしくなく、諦めないで最後まで勝ちを目指してほしく、ファールゲームを指示しました。
試合が終わり、結果は負けてしまいました。
終了後、冷静に考えたとき、小学生の子どもたちにファールゲームをやらせて良かったのか!?
と考え、悩んでおります。
教育スポーツのミニバスで、ファールゲームは良くないことでしょうか?
子どもたちにやらす戦術ではないのでしょうか?
卑怯な戦術なんでしょうか?
諦めないで最後まで戦うことは、違う方法でも伝え、教えれたのではないかと反省しているところです。
しかし、ただ「最後まで諦めないで戦え」と言っても、心のどこかで諦めてしまっている子がいるのが普通だとも思います。
教育的に間違いだったか、アドバイスをお願いいたします。
おっちゃんさん(指導者/ミニバス/男性)
非常に難しい問題ですね。しかし、「教育スポーツ」という考え方が理解し難い所です。
スポーツの本質は競争(競い合い)だと思います。
競争という事はある種非道徳的な側面もあるので、教育とスポーツを一括りにできないところが難しい所です。
そんな中で当然教育という考え方もあるのですが、教育が先ではないと思っています。
負けているからそれをひっくり返そうと努力することに「教育」が必要なのではないでしょうか。
つまりその為にどう考えるか、どういう方法があるか等々、それを指導していくことが強いて言えば教育だと思います。
これはあくまでも一般論としてということですが。
ではまず、ミニバスケットボールにおいて「ファウルゲーム」が正しかったかどうかということから考えてみたいと思います。
ミニバスケットボールにもルールがあります。そして決められたルールの範囲内で勝つために戦略、戦術があり、それを日頃から練習で培っていくわけです。したがって、当然ファウルゲームはルールで決められた範囲内での戦術だと解釈でします。
ただ、同じファウルをするにも相手のユニフォームを掴んだり、極端に相手にダメージを与えるようなファウルをしたのでは「アンスポーツマンライクファウル」になりますから、「スポーツマンシップ」というまた違った側面になってしまいますのでその件はまた別に考えなくてはなりません。
ただ、残り2分で9点ビハインドでのファウルゲームがどうなのか、ということが次の問題になります。
残り2分で9点ビハンドですから、ここからファウルゲームをやって、相手がフリースローをすべて落ちたとします。そうすればボールのポゼッションを得られますが、仮に攻めるのに20秒かかったとします。そうすると相手のボールポゼッションにファウルをするまでの時間を差し引いたとして攻撃回数は4~5回。それを全部入れて同点になるか逆転するかぎりぎりの所です。相手の4回のフリースローが1本でも2本でも入れば絶対に勝てない、という計算ができると思います。
したがって、勝てる可能性は非常に低い、という事ではないでしょうか。それより相手のボールを奪って(シュートをさせないでインターセプト等でボールポゼッションを得る)得点につなげるという方がセオリーではないでしょうか?
実際このケースに近い試合展開で、どのカテゴリーでもファウルゲームに持込んで勝った試合はあまり見たことがありません。
ただし、同じような残り時間で1~3点差位であれば逆転は良くあります。
その辺が釈然としていない所だったのでは?
ファウルゲームをやった場合、自分のチームが残り時間との見合いで何分あれば何点取れるのか。誰にファウルをするのか。フリースローが入ったときどう攻めるのか、落ちらどう攻めるのか等々、日頃から練習で作っておかなければなりません。それがしいていうなら 「教育」ということだろうと思います。
試合でいきなりファウルゲームをやろうとしても子供たちが混乱してしまうことも充分考えられますので、そういった訓練を日頃からしておくべきだと思います。チーム作りというのはそういうことです。
勝つことを求めなければスポーツの意味を成しません。しかし、勝てば良いということだけでもないのです。
勝っても負けても正々堂々、ルールに則って精一杯プレーし戦う。それがスポーツで人間形成(教育)の場にもなるになるのではないでしょうか。
しかし、もっとも重要なことはミニバスケットボールの本質論になるのですが、そういった勝つための戦略、戦術を優先させる方が良いのか否かを考える必要がありそうです。
バスケットボールを始めて間もない子供たちに必要なことは、もっと基本的なスキルの向上が先ではないかと思います。果たしてボールハンドリングもままならない状態で勝つことを追い求めることが子供たちにとって良いことなのかどうか。
考え方として、残り2分で9点も離されないように一人一人のスキルやクオリティーを上げていくことの方がもしかしたら勝つことより大切なことなのかもしれません。当然試合では最後まで決して諦めないで戦うことが重要であることも理解させなければなりませんが。心のどこかで諦めている子供がいても根気よくそれはスポーツとして成立しないことを説いていくことも指導者の仕事だと思います。
「教育的に間違っているかどうか」ということではなく、指導者としてフィロソフィー(信念)を持つことが大切だと思います。
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